※この記事は、2021/12/26に公開した内容をリライトしたものです。
=前編はコチラ=
良いクルマを買うために
さて、前編では中古車にはピンキリのクルマがあることをお話ししましたが、後編ではいよいよ本題の ”乗らなくても分かる” 目利きポイントについてお話しします。
少々長文になりますが、あきらめずにお読みくださいね😉
最初にお断りしておきますが、本来、中古車選びは外観、内装、エンジン、足回り、トランスミッションなどチェックする項目が数多くあって、ちょっと見たくらいでは正直言って判断できません。
でも、これからお伝えするポイントをしっかり押さえて中古車を吟味すれば、少なくともハズレを掴まされてひどい目に遭うことはないと思います。
少し細かいポイントや専門的なこともありますが、辛抱してお付き合いください。
それでは始めます✋
ポイント①:外観
人もクルマも外見は大切ですね。
きれいでピカピカだと乗っていても気持ちが良いだけでなく、いろいろなトラブルを防いだり怪しいクルマを見抜くも効果もあるんです。
なので、先ずは外観のチェックから始めましょう。
一番最初に行うチェックがボディ左右の歪みです。
上記写真の黄色矢印のようにフロント側からリア側に向かってボディ側面に当たる光の加減で歪みが確認できます。
クルマに対して少し斜めから見るのがポイントです。
光の当たり方が不自然で光の通り方が歪んでスッキリしていないものは側面衝突されて修復されたりドアをぶつけている可能性があり、あまりクルマが大事にされていないとも考えられるので、そういうクルマは一事が万事ダメなことが多いです。
次はボンネットやドアの隙間の間隔をチェックします。
この隙間をプロは「チリ」と呼びますが、チリが合っていないということはボンネットやドアを外して修理した可能性が多く、戻すときに正しい隙間が確保できていないということはあまり腕の良い職人さんではないと言えるので、こういうクルマは避けた方がよいでしょう。
外観の最後は、左右ドアの下側チェックです。
写真左側の黄色丸部分をチェックします。
具体的には写真右側の黄色で囲んだ部分の塗装状態を見ます。
この部分をプロは「袋」と呼びますが、ドアパネルを袋状に折り返したところで、水が溜まりやすいので錆びの出やすいところです。
地面にしゃがんで(這って)見ないといけないのでほとんどの方はチェックしませんが、ここが錆びているとあっという間にドア下側から側面まで広がります。
どうしても雨や洗車で濡れるので水が溜まるのですが、ここを丁寧に拭き上げている人は少ないので、水や泥が付着したままだと錆が進行し、見えにくいので酷くなるまで気づきません。
中古車を見る際は必ずチェックするポイントです。
ポイント②:エンジンルーム
”エンジンなんて見てもわかんない” という方も多いと思いますが、あまり心配いりません。
ボンネットを開けて、エンジンルーム全体が埃だらけ、蜘蛛の巣が張っている、なんていうクルマは前オーナーがまともに面倒見ていない証拠。
即、却下です😅
また、事故の痕跡を見つけることもできます。
写真左側がボンネットを開けたところの図ですが、写真中央、黄色丸のようにボンネットの付け根にはナットがあります。
このナットが錆びていたり、ナットが傷ついていて外したような跡があると、正面衝突した可能性があります。
ボンネットなんて普通は外すことはありませんので、事故でつぶれたボンネットを外す以外にはこのナットは触りません。
さらに、写真右側の黄色丸はフロントフェンダーなどの取付ナットです。
ここもボンネット同様、普通は工場で取り付けられてから外すことはありませんので、ここが錆びていたり外した跡があったら側面衝突でフェンダーを外して修理した可能性大と思ってください。
今後は少し難易度が上がりますが、エンジンの状態を知るポイントです。
左側写真の黄色丸に注目!
ここがエンジンオイルを入れるところで、黄色のキャップを「オイルキャップ」と呼びます。
エンジンオイルというのは人間でいう血液で、これがエンジンのコンディションを整えています。
エンジンオイルは決められた周期で定期的に交換しないと血液と同じでドロドロに汚れエンジンが壊れます。
そして、右側の写真がオイルキャップを外して裏返したところです。
ご覧のとおり黄色丸部分がきれいで何もありません。
定期的にオイル交換が行われている正常な状態です。
ところが、ろくに交換もしないで乗りっぱなしのクルマの場合、ここにヘドロのようなネチョネチョとした物体がこびりついています。
どんな高級車でも同じようにつきます。
何故そうなるのかというと、長期間交換しないうちにエンジン内部で発生した水分や整備不良で冷却水などがエンジン内部に浸入して汚れたオイルと混ざり乳化するからです。
なので、オイルキャップを開けてチェックするだけでも管理状態は大体わかるのです。
ヘドロがついているようなクルマは既に終わっています。
買った途端に修理工場行き、なんて悲劇に遭いますよ。
狙っている中古車を見に行ってボンネットの開け方やオイルキャップがどれかわからない時はお店の人に聞いてみましょう。
店員さんがオイルキャップがどれかわかっていないような店なら即退散です。
そんな店にあるクルマは危なくて乗れませんので。
ポイント③:ドア
ドアは乗り降りするため、どうしてもぶつけやすく、また側面衝突では大抵被害を受ける部分なので修理されている可能性が高いところです。
そんな修理の形跡を知るポイントはここです。
写真左側の黄色丸の部分に「ヒンジ」と呼ばれるドアをボディに取り付ける金具があります。
写真右側の黄色丸がその拡大図です。
このナットが錆びていたり傷ついていて外したような跡があったら、間違いなく”修理歴あり”です。
ボンネット同様、ここも工場から出てきてから外す必要なんてありませんので。
前述の外観チェックでチリが合っているか確認するのがポイントと書きましたが、それとこのチェックを重ねるとさらに事故歴有無の判断が容易になりますね。
ポイント④:トランクルーム
続いてはトランクルームです。
ここは後部からの追突事故の証拠が残りやすいので、必ずチェックしてください。
左側の写真がトランクを開けたところ。普通はトランクマットが敷き詰められていますがこれを上に引っ張って持ち上げると右側の写真のようになります。
黄色丸部分がチェックポイント!
トランクの角などの内張りが湿っているものや水分が溜まっていたらアウト。
これは追突されたり、バックで激しく衝突したことでトランクが歪み、修復したものの、目に見えない隙間から雨水や洗車時の水滴がトランク内に浸入している証拠です。
クルマは前後に動く乗り物なので、正面と後部からの衝突が多いのですが、真正面は意外と少なくオフセット衝突と呼ばれるやや斜めからの衝突がほとんど。
物理的な話ですが、この衝突の方がぶつかったときのエネルギーが大きくボディやフレームへの影響も比例するので、こういったチェックで過去の事故被害の大きさを知ることができます。
ポイント⑤:その他
もう少しの我慢です😅
次はヘッドライトやホイールの状態を見ることでも事故の有無をチェックできます。
写真左側の黄色丸をご覧ください。
これはヘッドライトですが、このレンズ内に曇りや水滴が発生しているものがあります。
これも衝突でヘッドライトが壊れたことで起こる現象です。壊れたヘッドライトは普通交換されますが、その周辺が歪んでいて隙間から水分が浸入するとライトを点灯した際の熱でそれが蒸発して曇るのです。
それから、ホイールです。
これはわかりやすいので、すぐ見つけらると思います。
写真右側の黄色丸部分を「リム」といいますが、タイヤを縁石などにぶつけると大抵このリムにガリガリとした傷が残ります。
これをプロは「ガリ傷」と呼んで、中古車の価値を下げる典型的な減点要素としています。
見た目が悪いだけでなく、走りにも影響が出ます。
クルマには「ホイールアライメント」といってクルマが真っ直ぐ走ったり、上手く曲がるようにタイヤの取付角度を調整しています。
タイヤを強くぶつけたりすると、この角度が狂ってハンドルを取られたり、真っ直ぐ走らず左右どちらかに流れたりします。
この調整には専用の測定器を使って何時間もかけて作業を行うため、費用も数万円かかります。
なので、あまり派手に傷がついているクルマは避けた方が賢明でしょう。
特にフロント側だけ大きく傷ついている場合は強く当てている可能性が大きいので要注意です!
最後に乗らなくても判断できるのが走行距離。
メーターの中に「○○○○km」と表示されているのがそれです。
一般的な使われ方で自家用車であれば10,000km/年と言われています。
つまり、4年落ちの中古車なら40,000kmくらい走っていても普通ですが、中には2~3年で10万kmを超えるようなものもあります。
こういうクルマは「過走行車」としてガリ傷同様、中古車価格を下げる要因です。
想像がつくと思いますが、普通より過酷な使い方をされているので、当然痛みや故障が発生しやすく、”安かろう悪かろう”となる可能性が大きいと言えます。
メンテナンスをしっかり行っていれば問題ありませんが、その状況も判断しにくいですし、過走行車は手を出さないのが賢明です。
逆に「超低走行車」といえるものもあります。5年落ちで5,000kmなんていうのもたまに存在しますが、自動車は走っていなければよいというわけでもありません。
動かしてナンボのものですから、あまり稼働していないと、部品各所が油切れや固着、変形を起こしてこれもトラブルの原因となり得ます。
目安として、10,000km/年ということを覚えておいて損はありません。
まとめ
いかがでしたか?
以上が、初心者の方でも失敗しない中古車選びのコツです。
最初にも書きましたが、中古車を査定(吟味)するにはこれ以外にもトランスミッション(ギヤ)の状態やエンジン本体の状態、ブレーキや足回りといってタイヤとボディを繋いでいるサスペンションの動きなど、実際にクルマに乗って状態を確認する必要があります。
しかし、初心者の方にはちょっとハードルが高いので、今回は車に乗らなくても判断できるポイントに絞ってお話ししてみました。
クルマを初めて買おう!という方々が、ツライ目に遭わないためにも、このコツを覚えていただいて、トラブルのない良いクルマを手に出来たら幸いです。
わからないことはドンドンお店の人に聞きましょう。
素敵な愛車購入の大成功をお祈りしています。
"こういうブログ興味あるなぁ"、という方は是非「読者」登録をお願いします。
よろしくお願いします。